キール誕生秘話「金塊の門番、玉座の門番」第一章

その昔、とある王国に対の命が誕生した。
よく似た顔の、珠のような男の子だった。
国民は双子の誕生を大層喜びました。
しかし、この尊い命の誕生をよく思わない人間が王国に一人だけいました。
国王の正妻、つまりはこの国の女王陛下でした。
女王陛下は、もとは隣国の王女さまでした。
国同士の繁栄を願い、王女は嫁ぎ、そして女王陛下として王の隣に立つことになりました。
女王が来てから、この国は変わりました。
商人から取り立てる税金は増え、産業が盛んになる代わりに生まれる富は全て女王のアクセサリーとなり、そしてケーキに消えるのです。
また、女王は自身より美しいものを許しません。
美女の噂を耳にすれば、国民を集め美女に拷問をかけ、凌辱の末処刑してしまいます。
この残虐非道な女王は国民からはもちろんのこと、国王すら恐れるようになり、いつしかこの国は女王陛下に乗っ取られてしまったのです。
そんな折、国民の間でこのような話が広まりました。
女王陛下の侍女が国王の子供を身籠ったと。
当然国民の耳にそのことが広まる前に、女王陛下は知ってしまいます。
女王陛下は子供を身籠ることが出来ない体でした。
自分を差し置いて女としての至高の幸せを手にした女を許すわけがありませんでした。
酸漿と鉛を煎じた飲み物を医者に作らせ、侍女に飲ませようとします。
誰の目にも触れることなく、命を落とすこともなく国王と不貞を働いた罪を堕胎することで生産できるのだから安いものでしょう?女王は言いました。
しかし、侍女はそれを拒みます。
そして女王に一つだけ願い出ます。

子供をどうか産ませてください。

女王は言いました。
子供を産むのは構わないけれど、あなたの命は保証しない。と。
それから半年以上たった雪の降る朝。
国王の血を色濃く継いだ双子の男の子が産声を上げたのです。
これで圧政を強いた悪女が玉座から退く!
城中に広がる産声はまるで希望の鐘の音のようだ、と誰もが口をそろえました。
だが、国民の希望はすぐに打ち砕かれてしまいます。

「女王陛下の私がありながら、不貞を働き、挙句子供まで儲けるなどけがらわしい!こんな女が女王の玉座についていいはずがない!国王も国王でこんなみずぼらしい侍女と不貞を働くとは何事!こんな下種の極みを絵にかいたようなけだものが国を治めていいはずがない!今すぐ国民を処刑場に集めて首をはねてしまいなさい!」

女王陛下の言葉にあらがえるものなど、今の王国には存在しませんでした。
声高に告げられた処刑命令に、家来たちは迅速に動きました。
抵抗する国王を殴りつけ、出産を終え精根尽き果てた侍女を縄にかけ、底冷えする地下牢へ放り込みました。
極悪非道の女王陛下の気まぐれで、処刑方法はギロチンから、拷問の末の火刑に変更となりました。

「これより、神聖なる王宮で不貞を働いた淫獣2匹の処刑を執り行う」

死刑執行人を従え、女王は高らかに宣言します。
その表情は非常に生き生きしています。
まずは国王の登場です。
精悍で気高い国王の面影はなく、国髪を引き抜かれ、ところどころ頭皮ははがれきっていました。
四肢を馬に八つ裂きにされ、吊り篭に入れられたまま、侍女の拷問を見せつけられることとなりました。
程なくして、侍女が弱った体を引きずられながら刑場にあらわれます。
嘗ての瑞々しい肢体には鞭打ちの痛々しい痕が色濃く刻まれており、体を覆う襤褸布には血が滲んでいました。
屈強な男たちが彼女を磔台に拘束します。
大きく開いた股座の中心に洋ナシを模した金属を宛がうと、そのまま彼女の中へ押し込み、摘みをひねります。
彼女の悲鳴と同時に中の洋ナシは開き、女の象徴をずたずたに引き裂いたのです。
全ての誇りと尊厳を蹂躙されたかつての国民の希望は女王の高笑いと共に炎に焼かれ、空へ昇っていきました。
国民たちはこう言います。
「世界が終わった」と。
その日を境に国は大きく変わりました。
嘗ての圧政はより苛烈さを増し、国民は「人」ではなく、女王の税を満たすための「道具」であり「金」となりました。
そんな生活が20年ほど続いたある日、傾国しかけた王国に一縷の光が差し込んできました。

「あの希望の双子が生きている」

国民達は女王の圧政の隙間をかいくぐり、必死になって双子を探します。

この伝承に関連する魔道具: 金塊の番人・玉座の番人
ページ:«12345678»